
相続したら、不動産屋からDMが増える理由
相続の手続きが一段落したころ、
「最近、不動産屋からのDMがやたら増えたな」そんなふうに感じたことはありませんか。ポストを開けるたびに、「高く売れます」「今がチャンスです」「無料で査定します」といったチラシやハガキが目につくようになります。
また、査定サイトに一度登録しただけで、メールや電話が立て続けに来た、という話もよく耳にします。正直なところ、まだ気持ちの整理もついていない。売るかどうかも決めていない。家族とも十分に話し合えていない。それなのに、周囲だけが「売る前提」で動き出す。
しんどいと感じるのは、ごく自然なことだと思います。
なぜ、相続すると不動産屋からの連絡が増えるのか
相続後に不動産屋からのDMや連絡が増える理由は、実はとてもシンプルです。
不動産業界では、「相続=近い将来、売却の可能性が高い」そう見られているからです。
ここで、少しだけ業界の内側の話をします。相続後にDMが増えるのは、決して偶然ではありません。
・相続登記がされた(相続した人が“特定できる情報の組み合わせ”が市場に出回っている)
・名義が個人や複数人に変更された
・空き家になり、郵便物が溜まり始めた
・査定サイトや一括査定サービスに登録した
こうした情報は、不動産業界から見ると「動く可能性が高い不動産」と判断されます。
特に査定サイトの場合、登録した瞬間に複数の不動産会社へ情報が一斉に配信される仕組みになっています。その結果、電話やメールが短期間に集中します。これは、「あなたが狙われている」というより、仕組みとしてそうなっていると考えた方が近いかもしれません。
また、DMを送ってくる不動産会社のすべてが、地元密着型とは限りません。エリアごとに名簿を購入して機械的に一斉発送しているケースや、実際には現地を見たこともないまま送られているDMも少なくありません。もちろん、真面目に向き合おうとしている会社もあります。ただ、相続直後という「心が揺れやすい時期」に、「今が売り時です」「早く動いた方がいいです」という言葉だけが先に届くと、気持ちが追い込まれてしまうのも無理はないと思います。
相続した不動産は、すぐ売らなくてもいい
ここで、一つだけはっきりお伝えしたいことがあります。相続した不動産は、すぐに売らなくてもいいのです。
売らないという選択は、放置するという意味ではありません。今は様子を見る。気持ちが落ち着くまで待つ。家族と話し合う時間を持つ。それも、立派な判断です。むしろ、何も考えないまま勢いで売ってしまい、あとから「もう少し待てばよかった」「判断が早すぎた」と後悔される方のほうが、実際には多く見てきました。不動産屋の立場から正直に言えば、「今すぐ売ってほしい」と思う場面があるのも事実です。それでも、「今は売らないほうがいいですね」とお伝えすることがあります。売ったあとの後悔も、売らなかった場合の管理や負担も、どちらも数多く見てきたからです。
いきなり「売る・売らない」を決めなくていい
相続した不動産について考えるとき、最初から「売る・売らない」を決める必要はありません。まず整理していただきたいのは、次の点です。
・今、何に一番困っているのか
・何が一番不安なのか
・今年はどんな一年にしたいのか
これだけでも整理できると、選択肢はぐっと見えやすくなります。DMや電話が増えると、「早く決めなければいけないのでは」と気持ちが焦ってしまいがちです。ですが、そう感じたときほど、一度立ち止まってみてください。決めるのは、落ち着いてからで構いません。
売る前提でなく、相談してもいい
もし、「売る前提ではなく話を聞いてほしい」「今はどう考えればいいのかだけ知りたい」そう思われるのであれば、そういう相談の仕方があってもいいと思います。不動産は、急がされて決めるものではありません。少なくとも、ご自身が納得してから決めてください。それが、あとから後悔しないための一番の近道です。
アクトでは長年、相続に関わる不動産について、管理・活用・売買といったさまざまなご相談をお受けしてきました。「すぐ売りたい方」もいれば、「しばらく様子を見たい方」「今は決められないけれど、話だけ聞いておきたい方」もいらっしゃいます。
私たちは、最初から売却ありきで話を進めることはしていません。その方の状況やお気持ちを整理するところから、一緒に考えることを大切にしています。相続した不動産について、「今はどう考えたらいいのか分からない」そんな段階でのご相談でも構いません。決めるのは、納得できてからで大丈夫です。




